最新 行動経済学入門 「心」で読み解く景気とビジネス (朝日新書)
感想
行動経済学の説明。
図書館で、貸出回数0回の本として企画展示されていた。寄贈受入図書なので、新着図書コーナーの配架を経ずに、図書館利用者の目に止まる機会が少なかったんだろうと思う。私が寄贈した書籍も同じように展示されていた。新書に関しては、面白いテーマを扱っているものもあるので、寄贈受入図書専用の新着コーナーを設けるか、様々なテーマで新書を取り上げて欲しいと思った。いずれ図書館にお願いしておきたい。
これまでに行動経済学については、『競争と公平感―市場経済の本当のメリット』や『行動経済学―感情に揺れる経済心理』を、すでに読んでいる。これまで読んだ本よりも非常に平易に書かれており、学術的には物足りないかもしれないが、入門書として好ましい。
行動経済学の概念について、ほとんど忘れてしまったが、本書で思い出したところが多い。
メモ
- ギャンブラーの誤り 確率の定常性を無視すること
- ハーディング現象 みんなと一緒のことをやること
- プロスペクト理論 価値関数と決定の重み付け
- ヒューリスティック 膨大な情報から必要な情報だけで決定すること。あまりにも単純化・画一的に見てしまうと、リスクを見落としてしまうこともある
- 心理勘定 損得勘定ではなく、心理的な勘定がある。コミットメントという思い入れ、サンクコストと称する回収不能な費用
- フレーミング効果 一度、固定観念ができると、なかなか覆せない
- 初頭効果とピークエンド効果 初頭効果は早い段階、ピークエンド効果は最後の段階で印象を形成する効果
- 割引率 せっかち度を示す指標。時間をどれだけ金額に反映するか
- 双曲割引モデル 「近い将来から期間が長くなるにつれて、割引率が低下する」
- 近視眼的損失回収行動 いまなら10万円の損失で済むのに、先送りで何倍にもなるとか
- ナッジ 禁止や強制はストレスを覚えるので、自由裁量と見せかけつつ、一定の方向に誘導する手法。しかし、誤った方向に誘導してしまうリスクあり
目次
第1章 行動経済学ってなんだ?
- 行動は「心」が決める 人は理屈通りには動かない 人間の心の不思議な動き 「ギャンブラーの誤り」とは? 人が「経済」をつくっている 好・不況の波がでいるのは 行動経済学が必要な理由 「ハーディング現象」とは?
第2章 人間の本質をとらえる ―プロスペクト理論
- 「プロスペクト理論」とは? 「価値関数」とは? 価値観数の特徴 損失を嫌う人間の心理 「決定の重み付け」とは? 利益と損失の確率
第3章 直感はバカにできない? ―ヒューリスティック
第4章 満足度をはかる心の帳簿 ―心理感情
- 「心理感情」とは? 理屈にあった心理感情 「心の会計」のからくり 心の帳簿は千差万別 「コミットメント」とは? 「サンクコスト」とは? 本当に会社の利益になるのは 「認知的不協和」とは? 「囚人のジレンマ」とは?
第5章 その思い込み、大丈夫? ―フレーミング効果
- 「フレーミング効果」とは? バーゲンセールの呪縛 「初頭効果」とは? 「見た目がすべて」の真偽 言い方次第で気持ちも変わる 「ピークエンド効果」とは?
第6章 時間とお金の不思議な関係 ―“せっかち度”
- 将来よりも「今」が大事? 「割引率」は“せっかち度”を表す マシュマロ実験 なぜ、禁煙や禁酒ができないか 「近視眼的損失回避行動」とは? 投資の時間軸をどう設定するか
第7章 それとなく誘導する仕掛け ―ナッジ
第8章 こんなに役立つ行動経済学