潰れない会社にするための12講座 (中公新書ラクレ)
感想
経営関連の本。2002年発刊。
経営の知識を増やしたいと思う一方で、「失敗学」の影響もあり、経営するには、倒産しないように心がけるべきだと思い買った本だが、ずっと積読しておいたままだった。
今回、白い鯛焼き屋を事業展開して倒産した話を、2chまとめサイトで読んだんだけど、倒産した分析をしていたら、本書を思い出し読むことにした。
4つの章に分かれているが、第1章と第2章は内容が重なるところが多い一方で、タイトルに「12講座」とあるのに、第3章と第4章に分かれているところに、章立ての不十分さ、内容の体系のなさを感じる。中公新書ラクレという新書に、そこまで求めるのもわがままではあるが。
著者の経営していた会社は、金融ビッグバンの影響を受け、貸し剥がしに遭い、倒産に追い込まれたようだ。当時、社会現象になっていたのを思い出す。
銀行が悪者のように描かれているが、銀行の立場ならそうするしかないし、そうしないと銀行が潰れてしまう。また、会社だって、調子のいいときは大量採用する一方で、不調になるとリストラと称して大量解雇しだすのであれば、労働者の立場から見たら、経営者は悪者にしか見えない。
金融ビッグバンとともに、個人の株式投資も盛んになった影響もあり、株式をいくらかかじったときに、会社選びの経済指標としてまなんだものばかりだった。いまとなっては、当たり前のものばかりで、昭和型の牧歌的経営に抱腹絶倒しながら読めた。
売上より利益であり、売上が伸びない情勢では、費用を減らすべきだと書かれているが、本書が発刊された後から、バカの一つ覚えのように経営者は「コストカット」を連呼していた記憶がある。むしろ、経営者がバカの一つ覚えで経営しているのが問題なのではないだろうか。
著者の会社では、社長の妻が出しゃばっている記述が見受けられたけど、同族経営の欠点が理解できる気がした。
メモ
- 36:「今、経営改革の指導をしていても、経営状況の悪い会社ほど社員はのんびりしてい、“金は誰かが稼いでくれる”と思っている傾向がある。そして、どん底になって初めて「知らなかった、知らなかった。教えてくれなかった!」といって大騒ぎをするのである」
- 66:技術系役員が辞めると、技術者も辞めるのを見て、技術系役員の意義がわかった気がする。
- 93:手持ち資金が2000万円を割り込む前に倒産させる
- 94、講座2:破綻の予兆:営業利益が赤字、借入金が売上の半分超え、3か月手形決済の見通しがつかない。売上・利益が3か月連続未達成。銀行の融資回答が遅れる。半年先の顧客別売上見通しがつかない
- 講座3:銀行は「我が身が大事」。#てか、銀行って足りなくて困ってるときに貸してくれるわけではないわな。銀行を悪のように書いているけど、銀行も回収できなかったら破綻してるわな。
- 講座6:銀行の手口が、ヤミ金の手口と差なくて驚いた。貸し付け先が企業か個人かの違いだけ。対策:現金経営、手形発行を減らすためだけに使う、追加借入しない
- 講座6:大企業の方が中小企業より情報力があるから、実は決断が早いという
- 講座7:新規事業は「今の業界から片足を出すくらい」で「マーケティングを徹底的に行った上」で「そろりと「つま先」を出して様子を見るくらいの慎重さ」が必要だと。
- 講座7:傾いている会社の社長って、売上や資金繰りだけになっちゃうのかな。利益の方が重要はホリエモンも言ってるし、こんなの株かじれば会社選びの仕方で覚えるわな。でも、この本が出た後「コストダウン」とバカみたいに言ってた記憶あるなあ。
- 講座7:だから、3つの「じんざい」を淀君のお好みで振り分けてるんだろ?
- 187:ヒッカピカ作戦って、要は30分ほど、普段と違うことさせるんだけど、道徳的にも、労働環境衛生的にも、叶ってるわな。
目次
I ドキュメント倒産!
- 1. 倒産の瞬間何が起こる
- 2. あの世からよみがえる
II 潰れない会社にするための12講座
- 3. 失敗から学ぶ―こうすれば会社は潰れない
- 4. 失敗から生まれた潰れない会社にする戦略
- 5. 倒産しそうな会社の見分け方