3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代 ちくま新書708
2010-09-23 図書館 (756円) 2010-09-23/30 ★4
感想
なぜ無能なのに年配者の給料は良くて威張っているのかという疑問から、図書館でたまたま問題にしていた「昭和的」というキーワードが目に入ったので、昭和的価値観(戦後の封建的社会)を知りたくて読んだ。
昭和的価値観は、名詞(名刺・肩書き)で価値が決まる社会に思える。一方、平成的価値観は、動詞が交換される。何をやってきたか、何ができるか、何がしたいかで価値が決まる。
昭和的価値観は、幕の内弁当のようなものだと思う。これ1つあればお腹いっぱいになれるんだけど、嫌いなおかずも残さず食べようのような。「○○を知るには、どの本やサイトをみればいいのか?」にも現れてる。一方、平成的価値観は、自分で考えて組み合わせないといけない。
マニュアル本ではないが、今後どうやって生きていくかの参考になった。
メモ
新卒採用慣行
- 企業が新卒にこだわるのは年齢で人の価値が決まるから
- 3〜4年で内定だと成績は関係ない。日本の大卒はパスポート。欧米の大卒は能力証明書
- #経営者の中にはビジネススキル教えれみたいのもいるし
- リクルートが有期の中途採用をしている。#雇用制度の新陳代謝を促すのはリクルートなのかもしない
キャリア形成
- 昭和的:重要なのは仕事内容ではなく会社名→平成的:キャリア形成の考え
- いい大学を出たことを前面に出してくる人が多い→重要なのは、何をやってきたか、そして何ができるか
- ×オススメの転職先は?→○〜をやりたい。〜が欲しい
いやいや働く人たち
- 2001年から指示した仕事を新入社員が嫌がるようになった。それまでのいやいや働く人たち
- 大量生産時代のひたすら働くことが優れているとされる文化
- 「会社を辞めれば地獄に落ちるぞ」と言われたが、いまはその会社がない。
- 日本の経営者は外国人労働者を歓迎しているが、受け入れコストは自治体に丸投げ
- 人生経験豊富なはずの父に相談して、翌日手渡されたのは、すでに読んだマニュアル本だった
専門性と外資系
- 昭和企業で専門性は無駄
- 昭和的企業では、留学しMBA取得しても活かすシステムがなかった。官費留学も同じ
- やる気のある学生は日本企業を見捨てて外資系に行った
- インターンシップでの経験とネットコミュニティで共有
- 外国からも不人気。♯全社英語化した会社の採用が昭和的だとツッコミされてたなあ
女性の労働
- 女性の活躍度から昭和的価値観を計れる
- 日本企業は50代叩き上げに対し、アメリカ企業は30代女性だった
メディア
- 「まだ新聞を読んでいるような人は成功しない」大前研一
- 新聞1紙読んだだけでわかった気になっていた世代
- メディアリテラシ3分類
- 1 主体的に情報の取捨選択する層
- 2 既存メディアで判断し続ける層
- 3 既存メディアから離れるけど主体的ではない層
- 「広告によらない、特定のテーマや切り口に特化した情報。それを独自に構成したものを、欲しいという人にお金を出して買ってもらうスタイル」
政治
- 定期昇給正規層(団塊)、正規層(ジュニア)、非正規層の格差
- アメリカは中間管理職を解雇したが、日本では非正規にしわ寄せした
- 特権階級:労働者→既存左派:持たざる若者
- 年齢給→職務給にすべき。ほか原則解雇自由など
- 左翼は経営者のせいにするけど、実際は世代間格差。ほか大企業から中小企業へのしわ寄せ。#大企業の無能ジジイがもらいすぎということになる。またそういう人が反対している
- 聞いた質問に、自分は答えられないのは、固定観念があるから
- LLPという営利組織形態
- 競争から共生。横のつながりで支えあう社会
目次
はじめに
第1章 キャリア編
- 1 「若者は、ただ上に従うこと」―大手流通企業から外資系生保に転職、年収が二〇倍になった彼
- 2 「実力主義の会社は厳しく、終身雇用は安定しているということ」―新卒で、外資系投資銀行を選んだ理由
- 3 「仕事の目的とは、出世であること」―大新聞社の文化部記者という生き方
- 4 「IT業界は3Kであるということ」―企業でなく、IT業界に就職したいという意識を持つ男
- 5 「就職先は会社の名前で決めること」―大手広告代理店で、独立の準備をする彼
- 6 「女性は家庭に入ること」―女性が留学する理由
- 7 「言われたことは、何でもやること」―東大卒エリートが直面した現実
- 8 「学歴に頼ること」―会社の規模でなく、職種を選んで転職を繰り返し好きな道を切り開く
- 9 「留学なんて意味がないということ」―大手企業でMBA取得後、安定を捨てた理由
第2章 独立編
- 10 「失敗を恐れること」―大企業からNFLへ
- 11 「公私混同はしないこと」―サラリーマンからベストセラー作家になった山田真哉氏
- 12 「盆暮れ正月以外、お墓参りには行かないこと」―赤門から仏門へ、東大卒業後、出家した彼の人生
- 13 「酒は飲んでも飲まれないこと」―グローバルビジネスからバーテンダーへ
- 14 「フリーターは負け組だということ」―フリーター雑誌が模索する、新しい生き方
- 15 「官僚は現状維持にしか興味がないということ」―国家公務員をやめて、公務員の転職を支援する生き方
- 16 「新卒以外は採らないこと」―リクルートが始めた、新卒以外の人間を採用するシステム
- コラム1 企業に求められる多様化とは
- 17 「人生の大半を会社で過ごすこと」―職場にはりついているように見える日本男子の人生
- 18 「大学生は遊んでいてもいいということ」―立命館vs昭和的価値観
- コラム2 二一世紀の大学システム
- 19 「最近の若者は元気がないということ」―日本企業を忌避しだした若者たち
- 20 「ニートは怠け者だということ」―「競争から共生へ」あるNPOの挑戦
第3章 新世代編
- 「新聞を読まない人間はバカであるということ」―情報のイニシアチブは、大衆に移りつつある
- 「左翼は労働者の味方であるということ」―二一世紀の労働運動の目指すべき道とは
- コラム3 格差のなくし方
あとがき