日本の経済格差 所得と資産から考える 岩波新書

2003/2004 BKNS 100円(672円) 2006-11-01/2007-01-02 ★4 図書館蔵書331.85

感想

統計的におかしい『下流社会』よりも、学術的なアプローチしている。格差社会の基礎を知るのに必読の書。

ただし、1998年発刊なので、10年近く経た今日までの状況変化は、別の書物に委ねないとならない。2006年発刊の同著『格差社会―何が問題なのか』で確かめたいと思う。

現在の政策が著者の提言と、どれくらい似ていたり、異なっていたりするものなのかを知るのに役立った。

目次
  • 1.平等神話は続いているか
    1. 「一億総中流」意識の虚実−国際比較のなかの日本
    2. バブル経済は何をもたらしたか
    3. 低成長期をみかえて
    4. アメリカ経済の復活と不安
    5. 福祉国家への道か
  • 2.戦後の日本経済社会の軌跡−分配問題を通して
    1. 戦前の不平等と戦後の諸改革の効果
    2. 高度成長期からバブル期へ
    3. 経済発展と所得分配の不平等
    4. 所得分配の国際比較−過去と現在
  • 3.不平等化の要因を所得の構成要素からみる
    1. 統計データと実感の差
    2. 所得の構成要素から何がいえるか
    3. 賃金所得の変化
    4. 家族構成の変化
    5. 租税と社会保障制度の役割
  • 4.資産分配の不平等化と遺産
    1. 二つの資産−実物資産と金融資産
    2. 持ち家志向、安全金融資産志向と貯蓄率の意味
    3. バブル経済とは何だったのか
    4. 遺産の役割をどうみるか
  • 5.不平等は拡大していくのか−制度改革
    1. 階層(職業)、教育(学歴)、結婚
    2. 浸透する実力主義と意識の変化
    3. 機会の平等保障と結果の不平等是正
    4. 効率性と公平性(平等性)
    5. 税制と社会保障制度の改革
  • 6.教育制度と企業内における改革
  • 7.まとめ