三省堂 現代文 三訂版 034

小沢信男・深萱和男ほか5名, 1990年, 三省堂
1990 SIS 790円(推定) 2005/2007-07-14

高校の教科書。国語(現代文)。姉の高校で3年のときに使用したようだ。

シャーウッド・アンダスン/橋本福夫・訳『トウモロコシ蒔き』には、浅田次郎鉄道員(ぽっぽや)』に通じるものがあった。

夏目漱石現代日本の開化』は、いまの日本人にも当てはまると思う。

梅崎春生『猫の話』は、シュールでとりわけ面白かった。

「彼」の部屋に居ついたカロと名づけた猫を飼っていた。愛着も湧いていたのだが、ある日、車に轢かれて死んでしまう。初めのうち、交通量の多い道路なので、カロは伸されて5倍に広がった。その後、カロは乾燥され、少しずつカロの断片がタイヤに持っていかれて、しまいになくなっていくというお話。

死というものは、たいてい三兆候(自立呼吸停止、心停止、瞳孔拡散)によって確認されるものだ。最近は脳死判定とか面倒だったりするけど、古典的な確認方法は三兆候といえる。もっと原始的な「死」となると、土に還って、はじめて「死」といえるのかもしれない。つまり、「この世」から存在が消えて初めて「死」なのかもしれない。

カロの場合は、土に還ったのではなく、車のタイヤにもっていかれて、どんどん小さくなっていくという「彼」としては痛烈な方法で、カロの「死」というものを認識したのではないのかと思った。

メモ

小説
赤西蠣太1917志賀直哉 47*19*21 18800
梶井基次郎1930闇の絵巻 44*16*8 5700

短歌と俳句
 その子二十ほか 晶子・茂吉・迢空・修司
 春風やほか 虚子・久女・誓子・三鬼

小説
シャーウッド・アンダスン1947/橋本福夫・訳1976
 トウモロコシ蒔き 44*16*11 7800
魯迅竹内好・訳 凧 44*16*5 3600

自由研究 近代の文章 41*19 10*24 *15 15300

随筆
別役実1984写真 704*8 5700
武満徹1974東風西風 704*7 5000

小説
野呂重雄1975ベトナム最後の砲弾 28*16 13*21 *4 2900
梅崎春夫1948猫の話 704*9 6400

評論
矢内原伊作1947顔 704*12 8500
武田泰淳1971私の中の地獄 704*17 12000

小説
森?外1890舞姫 704*32 22600
国木田独歩1898忘れえぬ人々 704*21 14800

詩人の感性 詩5編

講演・評論
夏目漱石 現代日本の開化 704*14 9900
柳宗悦 益子の絵土瓶 47*19*16 14300