格差社会 何が問題なのか 岩波新書新赤1033
2007-12-04 図書館361.8カ (735円) 2007-12-29/31 ★4
感想
格差社会問題。2007年は、橘木俊詔の『日本の経済格差』に始まり、『格差社会』で終わった。
失業者を減らすことが政策になっているんだよな。ケインズとかそうだけど。本来は、貧困者を無くし、人間的な生活を送れることが目的だと思うんだよな。
格差社会は広がっていないとする論者から、「餓死しないからいいじゃないか」という発言を聞いたことがあるけど、それのどこが健康で文化的なのかわからない。
なお、格差問題の何が問題なのかといえば、金持ちがますます金持ちになるのはともかくとして、貧乏人がますます貧乏になることが問題なのだ。
メモ
- 65 「竹中氏は、当時、格差が広がりつつある日本社会の状況を「極端な平等社会から「普通の社会」に変わりつつある」と評価しています。…結果の不平等については「敗者復活のルールも必要だ。言葉を換えればセーフティネットだ」と指摘しています。
- #けっきょくセーフティネット作ってないよな
- 65 「Winner-Take-Allモデル」
- 69 表3-1 貧困率:76歳以上 23.8%、66-75歳 19.5%、若者(18-25歳) 16.6%
- 70 表3-2 貧困率:母子世帯53.0%、高齢者単身世帯43.0%、単身世帯(高齢者世帯除く)26.9%、高齢者2人以上世帯20.5%
- 86 「すべての国民は健康で文化的な最低限の生活ができる権利があります。」
- 88 表3-7 高額納税者に関する職業別分布(2001年)%
- 全体:企業家31.7、経営幹部11.6、医師15.4、弁護士0.4、芸能人1.3、スポーツ選手0.9、その他38.7
- 133 1.「あまりにも低い賃金に抑えられている労働者が増えたらどうなるでしょうか。」
- #働かなくなるし、日本に生まれて損したと思うようになる
- 133 2.「貧困者が失業者であれば…人的資源をムダにしていると言えます。」
- #企業でムダを省いた成果が、国家レベルではムダだらけw → 「システム思考」へつながります
- 133 3.「…犯罪が増えるのではないかという危惧です。」
- #犯罪は良くないが、振り込め詐欺とか「社会悪」くらいにしか思わなくなった。かなりいびつかもしれないけど、所得(資産)の再分配を果たしていると思う
- 133 4.「貧困者や弱者が増えることは、逆に社会の負担を増やしてしまう矛盾が生じる」
- #競争が激しくなり、生産性が向上したら、働かなくても生きていけるくらいになると思っていた。ところが、金持ちがますます金持ちになり、貧乏人がますます貧乏人になってしまうのであれば、「改革」とは、効率が良くなったのではなくて、再分配機能を弱めただけにしか思えない。
- 143 表4-3 正社員・正職員 2億0791万、常用の非正社員・非正職員 1億0426万円、パート労働者 4637万円
- #パート労働者の横ばいのグラフを見ると、勤労意欲はなくなる
- 148 階層の固定化をどう考えるか「本来、政治家に向かない人が政治家になったとしたら…、これは社会にとって、あまり良いことではないと考えます。」
- #アベする人とかとくにそうだと思う
- 162 職務給制度の導入
- 166 「…日本においては最低賃金を上げても、雇用が減るということはありません。」『日本の貧困研究』(東京大学出版会、2006年)に詳しく述べている。「ちなみに、そこでは、最低賃金を上げれば、賃金分配を平等にする効果があることを示しています。」
- 174 「…大手自動車部品メーカーのアイシン精機が北海道の苫小牧(とまこまい)に工場を作ることを宣言しています(二〇〇七年操業予定)。」
- 188 「…失業保険制度に加入していない公務員も、今日にいたっては加入すべきと考えます。」
- #公務員が加入していないことを始めて知った。たしかに失業する可能性ないから不要だよな
目次
- 第1章 格差の現状を検証する
- 1.所得から見る格差の現状
- 2.日本の不平等を国際比較する
- 3.深刻さを増す日本の貧困
- 4.統計に表れない格差の存在
- 5.格差は「見かけ」なのか
- 第2章 「平等神話」崩壊の要因を探る
- 1.長期不況と失業の増大
- 2.雇用に広がる格差
- 3.所得分配システムの変容
- 4.構造改革の何が問題なのか
- 第3章 格差が進行する中で―いま何が起きているのか
- 第4章 格差社会のゆくえを考える
- 1.格差拡大を容認しても大丈夫なのか
- 2.貧困者の増大がもたらす矛盾
- 3.ニート、フリーターのゆくえ
- 4.階層の固定化と人的資源の危機
- 5.格差をどこまで認めるのか
- 第5章 格差社会への処方箋―「非福祉国家」からの脱却
- 1.競争と公平の両立
- 2.雇用格差を是正する
- 3.地域の力を引き出す
- 4.教育の機会を奪われない
- 5.急がれる貧困の救済
- 6.税制と社会保障制度の改革
- 7.「小さい政府」からの脱却