欲望―その底にうごめく心理 カッパ・ブックス

2010-10-24 古本市 20円 2010-10-25/27 ★4.5

感想

欲望にかんする心理学読本。

昭和30年(1955年)発刊。奥付には、著者の印鑑が張り付けられている。光文社のカッパ・ブックスだが、雰囲気は、いまの光文社新書である。

古い本なので「土人」「きちがい」といった差別的用語が使われていたり、「ヒロポン」といった時代を感じさせる用語も表記されている。男はフンドシかブリーフの時代だったようだ。

メモ
  • 21 「このごろでは日本にも、産みっぱなしの女性がいる…」#子育て放棄する母親批判も、俗流若者論の変形なんだろう。
  • 43 満腹にさせたニワトリに、別のニワトリが食べるのを見せると、また食べ始める。満腹1羽に空腹3羽だとたくさん食べ、満腹3羽に空腹1羽だと食ようとしない。
  • 53 「生理的な要求がよわくなれば弱くなるほど、外的な条件をよくしようとする。一番うるさいのは、食い気のおとろえた中年者や老人である」
  • 95 この時代、公共空間で母乳を与えるのは、外国人には性のシンボルであり野蛮である。一方で、著者(ら)にとっては、いきなり乳房を出されたら大変だが、見せたくて出すのではなく、母性行動として、やむを得ずやるという解釈をするらしい。文脈によって、羞恥ではなくなる例として挙げられている。
  • 113
  • 136
目次
  • この本を読んでくださる読者に
  • 1 欲望という名の機関車
  • 2 本能のちえ・本能のばか
  • 3 欲望の触手
  • 4 感覚の誘惑
  • 5 欲望をそそるもの
  • 6 欲望の定型
  • 7 すききらい
  • 8 欲望の強さ
  • 9 排泄の文化
  • 10 はずかしさ
  • 11 かくす文化と見せる文化
  • 12 自我のめざめ
  • 13 欲望の成熟
  • 14 欲望の安全弁
  • 15 恋愛の能力
  • 16 欲望の人間性
  • 17 結婚の幸福
  • 18 魅力の構造
  • 19 魅力の発揮
  • 20 気の毒な文化人
  • 21 欲望・人間・文化
  • おぼえがき