六法で身につける 荘司雅彦の法律力養成講座

2011-08-02 図書館 (1575円) 2011-08-03/11 ★5

感想

きっかけは忘れたが、アマゾンのレビューが高いので読むことにした。法律の入門の入門なんだけど、法律のキモとも言える部分が、非常に平易に書かれていて、法学の参考になった。

「個人の権利は最大限尊重されるべきものであり、各個人は他者の権利を害しない限りいかなることを行う自由も有する」ことが基本なんだなと。

メモ
  • 法律力とは、法的思考力と法解釈力のこと
  • 20 「法律の基本的な読み方をマスターしており、一度も目にしたことがない法律でも、条文を探し、条文を解釈することによって、未知の領域の相談に対しても的確な回答ができるようにトレーニングされている」
  • 25 「六法をマスターすれば、はじめて見るような法律でも条文だけで何とかなります」
  • 31 帰納的読書って、野口のパラシュート学習法に似てるな。なお、演繹的読書とは、小説みたいに頭から順に読んでいく方法

憲法

  • 38 「個人の権利は最大限尊重されるべきものであり、各個人は他者の権利を害しない限りいかなることを行う自由も有する」憲13条がネタ元かなと
  • 59 「誰にも迷惑をかけない限り、人権は無制限に保障される」
  • 61 利益衡量=バランス感覚
  • 61 「択一試験で迷ったら、どちらが社会常識に合っているか」

刑法

  • 79 法律には「要件」と「効果」がある
    • 要件:自販機のボタンを押す→効果:自販機から飲み物が出てくる
  • 実行行為→因果関係→結果
  • 94 構成要件:「犯人の行った行為が、刑法の条文のどれに当たるかを考える」
  • 96 「犯人の行為が、法律に規定したどの条文にあてはまるかを決めた枠」
  • 96 違法性:待ったをかける物言い→違法性阻却事由:緊急避難や正当行為など

民法

  • 112 民法の構成
    • 総則―権利の主体
    • 物権・担保物権―権利の客体
    • 債権総論・債権各論・親族・相続―権利の主体間の関係
  • 物権法定主義

商法(省略)

刑事訴訟法

  • 188 「国家起訴独占主義」「起訴便宜主義」
  • 198 刑事裁判は「第一審が勝負なのです!」

民事訴訟

  • 204 「民事訴訟法は『公法』、つまり『お上』と国民の間を規律した法律なのです」
  • 208 「処分権主義」
お薦めテキスト・参考書
  • 『模範六法』を索引で引く

憲法

刑法

  • 行為無価値
    • 『刑法講義総論』(大谷實著、成文堂)
    • 『刑法概説(総論)』『刑法概説(各論)』(大塚仁、有斐閣
  • 刑法全般
    • 各種予備校が出している書籍

民法

商法

刑事訴訟法

民事訴訟

目次

第1章 六法ってなんだあ?

  • 1 六法全書の役割:弁護士は六法全書をすべてマスターしている?/法律家が「六法全書」を常備している理由
  • 2 法律の基本となる六つの法律:六法の六つの法律とは?/一流の法律家には六法の知識が不可欠
  • 3 六法も分量が多いけど:4000条以上もの六法の条文
  • 4 法律センスを身につける六法の使い方:判例水戸黄門の葵の御門/無限の知識を提供する事項索引/条文を整理する「項」と「号」/事項索引の使い方

第2章 法律のキモ「基本的人権の尊重」

  • 1 すべての法律に通じる大原則:絶対に揺らがない法律の大原則/法律の王様、憲法
  • 2 国民主権と平和主義は偉くない?:なぜ、個人の権利の尊重が一番偉いのか?/すべての目的は「基本的人権の尊重」
  • 3 憲法はお上に対する命令:憲法は民間人同士の争いを解決しない/「公法」と「私法」

第3章 憲法の授業―バランス感覚を身につける―

  • 1 統治機構と人権の意義:国の統治機構は会社組織と同じ/さまざまな人権規定があるが……
  • 2 人権規定をどう読むか?:どこからが人権の侵害に当たるか?/最後の決め手はバランス感覚
  • 3 対象によって違憲判断の基準が異なる:二重の基準とは?/二重の基準が認められた理由/「他者の権利を害していないか」という視点からチェックする
  • 4 憲法9条の問題:憲法9条は改正すべきか?

第4章 刑法の授業―論理力を身につける―

  • 1 刑法を知るための四つの練習問題:「要件」と「効果」/犯罪の成立には「因果関係」が必要/刑法は意外と慎み深い?
  • 2 刑法の大原則「罪刑法定主義」:無茶苦茶な人権侵害を防ぐ機能/犯罪を抑止する機能
  • 3 刑法のキモ「総論」:まずは「総論」を押さえておこう/犯人の行為がどの条文に反するのかを考える/「違法性」に当たらない場合とは?/その者に「責任」はあるのか?/「刑法のキモ」と「法律のキモ」との関係

第5章 民法の授業―観察眼を養う―

  • 1 民法は私法の一般法:「善意」は善人?/民法は私法の一般法
  • 2 民法の体系:1044条もの条文からなる民法/権利の主体間の関係
  • 3 誰が権利を持っているのか?:権利の主体を補完し、活動を拡大する代理制度/代理人の法律行為の効果は本人に及ぶ
  • 4 権利の客体の種類:物権は法律に規定したものだけが認められる/取引の安全を図る「物権」の規定
  • 5 四つの原因から発生する権利の主体同士の関係:口約束だけでも契約は成立する/原則としてどんな契約も認められる/契約の裏街道「不当利得」/より高度な義務が要求される「事務管理」/夫婦間でも発生する「法律行為」

第6章 商法の授業―ビジネス感覚を磨く―

  • 1 商法の意味:三つの法律から構成される商法/ビジネスの世界の特別法
  • 2 会社法は商法から独立して存在する/株式会社を構成する機関/会社の最高意思決定機関「株主総会」/株主の責任の範囲/資本は会社の金庫にある?/経営のプロ!? 取締役会/取締役の義務/取締役を監視する監査役監査役会
  • 3 手形と小切手:有価証券とは?/支払いを確実にする手形の受けとり
  • 4 商法総則のひとつ商行為:「名板貸し」の問題/商法は常に最新の六法をチェック

第7章 刑事訴訟法の授業―トラブルから身を守る―

  • 1 刑事訴訟法の最大の理念:裁判のルールブック訴訟法/疑わしきは罰せず「無罪推定の原則」
  • 2 捜査が開始されるきっかけ:任意捜査の原則/違法行為によって得た証拠は無効
  • 3 被疑者を起訴する手続き:起訴の判断は検察官が握っている
  • 4 刑事裁判の進行:刑事裁判の多くは自白事件/判決は裁判官の心象による/裁判の判決
  • 5 判決に不服がある場合:控訴、上告/普通の人は事実認定についてだけ知っておけば十分

第8章 民事訴訟法の授業―争いを切り抜ける―

  • 1 民事訴訟の提起:民事訴訟法は「お上」と「国民」との間を規律した法律/民事訴訟法の大切な原則/処分権主義が採用された理由
  • 2 裁判所の審判の対象「訴訟物」:訴訟物とは?
  • 3 裁判所は争っている部分以外は判断できない:弁論主義の三つのルール
  • 4 民事訴訟法の難問「要件事実」:要件事実とは?/「立証」できるかどうかが重要/主張・立証責任の分配/三つの条文を見比べてみると
  • 5 刑事訴訟とのちがい:民事訴訟法の控訴/真実発見が目的ではない