「超」英語法

「超」英語法

「超」英語法

2006-04-18 図書館 (1575円) 2006-04-20/22 ★5 55404

英語学習本の4冊目。

図書館で英語の書棚を覗いていたら、「超」の付く野口の著書が目に入ってきた。私は、英語学習のマイブームだし、野口信者なので読むことにした。そもそも、読みやすい文体だし、外れがない。

いつものように、非常によくまとまっているので、「はじめに」を読むと、著者の「メッセージ」が理解できる。その「メッセージ」と私の感想を、いくつかをメモしておく。

1.インターネットの普及によって、無料で英語の教材を入手できるようになった。ほかの英語学習法と組み合わせると、「英語力は、かけたお金でなくて、かけた時間に比例する」時代になったと思う。IT業界界隈でいわれている「チープ革命」は語学学習にも訪れたようだ。

2.最近の英語学習は、「話す」ことを重要視しているが、著者は「聞く」ことが、もっとも重要だと主張している。また、文章においては、「読む」ことでなく、「書く」ことが重要だという。

3.英語には、さまざまな英語があるとしている。

1つ目の区分けは、l(聞く)、r(読む)、s(話す)、w(書く)だ。
2つ目の区分けは、p(専門的)、f(正式)、i(非正式)だ。

pl 専門家の会議で議論
pr 専門の論文や教科書を読む
ps 専門家の会議で議論
pw 論文を書く

fl ラジオ・テレビのニュースを聞く、空港・駅でアナウンスを聞く
fr 新聞・雑誌を読む
fs 大学の教室で話す
fw 大学のレポートを出す

il 映画鑑賞、友だちとの会話、街の生活
ir (インスタント・メッセンジャーでの会話)
is 友だちとの会話
iw メール、映画脚本を書く、(インスタント・メッセンジャーでの会話)

※括弧書きは、私が勝手に追加したものです。

p → f → i になるほど、即興の度合いが高まると思う。

仕事では、専門用語(p)が重要であるとしている。

4.中学・高校の英語学習は、教科書丸暗記で良いらしい。

5.第3章にあるリスニングのコツは、非常に参考になる。ただし、ほとんど知っていることであり、発音練習として使わせてもらった。

p.107で、子音が消失される単語が挙げられている。一方で、p.110 l.8に、「〔略〕前に音があっても消えないで聞こえる場合もある。例えば、ring, king, young など」と紹介されている。

聞こえる場合のある単語は、r, k, y といずれも口の奥で、喉に近いところで発音されるから、ngも発音しやすいと思われる。一方、子音が消失される単語は、どれも口の前の方で発音される。

ちなみに、この子音の消失というのは、中国語(普通話)では、「入声」の消失となって、完全に消えてしまった現象なのは面白い。広東語や漢字の音読みなどでは、「入声」を残している。音声学や音韻論などを調べてみたい気分だ。

6.語学の専門家でない人が、独自の学習方法を述べたものにすぎないという批判をネットで散見した。しかし、著者は、書中で反論している。専門家が言うような、英語という語学を習得するというより、いかに英語というツールを使い倒すといった、実用英語の方に重きを置いているのだと。

7.東大出身であっても、冠詞の使い方はマスターできないようだ。したがって、文法をいくら学んだところで、冠詞の使い方はマスターできないという証明だ。ネイディブズは、何度か読んで、しっくりする方を選ぶというらしいから、英絶方式の方が有利だといえる。日本人なら、「とは」と「は」と「が」のどれがいいかを文法書を開かないで、やはり何度か読んで、しっくりする方を選ぶのに似ていると思う。