やきもの鑑賞入門
2007-11-13 図書館751ヤ (1545円) 2007-10-30/11-20 ★3
目次
感想・メモ
焼き物2冊目。『日本陶磁大系18 光悦・道入・玉水・大樋』以来。
美学としても『色と形の深層心理』以来、2冊目。
いつから、焼き物に興味を持ったのか思い出してみた。1990年ころに発売の戦国シミュレーションゲーム「信長の野望・武将風雲録」なのかもしれない。このゲームには「茶の湯」などの要素が盛り込まれていたのだ。あと、映画「利休」も1989年に公開していて、その数年後のテレビ放送で見ていると思う。その後、『日本陶磁大系18 光悦・道入・玉水・大樋』を読んで以来、本阿弥光悦の作品が好きになった。
焼き物の良いものは、いわゆる美人を見るのと同じ興奮があると思う。ただし、美人の場合、整っているのが良いとされる一方で、焼き物の場合、曲がっていたり、くすんでいる方が、物凄く良い。
今回、感覚的に「良い」と解るんだけど、なぜ良いのかを、もう少し言語化や理論的に理解したくて、読んでみた。あと、本阿弥光悦の作品だけでは、物足りなくなってきたのもある。
p.46からの「日本人五つの感性」では:
- 土の色合い・感じといった「土味」
- 自然にできた模様である「景色」
- 視覚だけでなく触覚としての「手ざわり」
- 花や料理を置いたときの見栄えである「映り」
- 古くなることの良さとしての「古色」
という5つの要素で評価しているという。
p.12で、「感傷と感傷は違う」というのがあるけど、昔の俺なら反論していたかもしれない。けど、いまの俺ならその通りだと思う。
江戸時代の焼き物に、トランプのハートやスペードの形をあしらったものがり、江戸文化の深さに驚いた。p.22
p.24では、「民芸」を評価した柳宗悦を批判している。理由は、2ちゃんねるでいうところの「名無しさん」が作ったから。いまでは、2ちゃんねるが「名無しさん」による書き込みであっても、評価されていたり、書籍化されているものもある。なお、著者は「〔略〕その理論の破綻をよそに人々の大きな支持を受けている」と文末に書いてある。
なお、批判されている柳宗悦は、高校国語教科書『現代文 三訂版 [034]』で「益子の絵土瓶」の著者なのを思い出した。いろんな本の知識がつながることが、面白かったりする。
中国や朝鮮の陶器の方が進んでいたことが何度も記されている。日本史などで、朝鮮からの陶芸職人が帰化している流れとか理解できたような気がする。80年代の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」だけを知って育ったために、何でも日本が一番などと思っている人は、本当の日本のこと知らない人たちなんだと思う。一方で、この著者は批判するところは批判し、また受け入れるところはきちんと受け入れている人だなと思った。