ブログがジャーナリズムを変える

2007-11-23 図書館070.4フ (1785円) ★5 2007-11-25/28

目次
  1. 放送と通信の融合を大胆予測
  2. 参加型ジャーナリズムの時代がやってきた
  3. ネットにやられてたまるか
メモ

著者は「〔略〕放送と通信が融合した場合の究極のサービス形態は、ビデオ・オン・デマンド、モバイル、参加型メディアというキーワードで表現できるものになる」という。p.11

アマゾンの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」とか「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」のことを、「レコメンデーション・エンジン」もしくは「レコメンデーション・システム」と呼ぶらしい。p.12, pp.90-91

p.114の図8-1で、「報道機関の記事のジャンルとブログのジャンルの比較の図」が掲載されている。報道機関の方が多いのは、ローカル情報・一般ニュース・スポーツ。一方、ブログの方が多いのは、ビジネス、娯楽、生活、技術。

p.119から、「60ミニッツ」の中の人を降板に追い込んだブロガー達の経緯が書かれている。このレポートが臨場感があって面白かった。

「裏金報道のスクープで北海道新聞の取材チームと北海道警察の関係がぎくしゃくした際に、「北海道新聞をなんとかして蹴落としましょう。一緒に潰しましょう」という感じで北海道警察に擦り寄ろうとした全国紙の記者がいたという。」p.150

p.200で、「野党的言説から与党的言説へ」と題して、「『彼らのやり方のどこが間違っているのか』という言論活動ではなく、『自分は何をすべきか』という言論活動になっていかなければならないのだと思う」とある。つまり、何でも反対・批判だけしておくのではなく、対案を出せと。

pp.225-226では、いくら誤解を解こうとコメントしても誤解しつづける人もいるという。荒らしたいだけで、建設的な議論をしたいわけでもなく、議論を通して何かを学ぼうとするわけでもなく、相手をやりこめて優越感に浸りたいだけなのだろうという(『セールスドッグ』でいうところの「豚野郎」)。

韓国オーマイニュースのような日本のサイトは、「JanJan」、「livedoorニュース PJ」、「ツカサネット新聞」。記載されていなかったけど、「オーマイニュース日本版」あたりかなと。

感想

ブログ研究6(+6)冊目。非常に面白かった。ブログの参加型ジャーナリズムの可能性など。

ブログから起こした本は、内容を整えようとしても、記事の断片の集合にすぎなく、どうしても一貫性が保てないと思っていた。けど、「あとがき」あたりを読んでいて、この本が、ブログを元に書いたらしくて、物凄く驚いた。

『超簡単!ブログ入門』では、ブログ入門ということもあり、アメリカにおけるブログ事情が、わずかしか取り上げられていなく物足りなさを感じていた。一方、この本では、アメリカ滞在歴30年で記者歴がある方であり、1章にわたって書かれていて、臨場感もあって面白かった。

あと、日本の通信社のアメリカ法人に採用されていたようで、記者なんだけど、日本の本社採用で、日本のジャーナリズムのど真ん中にいる記者というわけでもないようだ。そういう境界線にいる人だから、かえって新しいことの模索などができるんだと思っている。

新聞社やジャーナリスト達が、読者たちとのコミュニケーションを、ずっと断っているから、その不満や鬱憤が、著者のブログで炎上を起こしたりしているのだと思う。これは、新聞社やジャーナリスト達に限らず、きちんとコミュニケーションを取れてないところで、発生しているような気がする。