人生問答 上

2008-01-26 図書館閉架304 (800円) 2008-01-26/02-10 ★3
実際に読んだのは、単行本の上巻(1200円)の一部

感想

北尾吉孝『何のために働くのか』を読んだときに、池田大作の発言と似ていると思い、また、アマゾンの書評に「現代版の松下幸之助」というのがあった。松下と池田の対談集があったのを思い出し、読むことにした。

道徳的思考のロジックを知るにはいいけど、いまでは使い古されたロジックばかりだった。双方、抽象的な回答ばかりで、根拠が薄いし、具体的なものはない。このため、皮肉にも、いまでも通用するロジックも多い。

また、いまだに同じロジックを聞くこともあり、いまだに解決していないというか、永遠のテーマも多いんだなと思った。

メモ
  • 死後の生命:松下の死後観は、仏教の「個々の生命は死後、大宇宙という生命体に融合し、融和する」という考えにやや近いらしい。ただし、個性は失われていると考えるそうだ。
  • この考えや「生命現象の重層性」あたりから、池田のいう「生命」が、「いのち」以外に「しくみ(組織やシステム)」を含んでいることに気づいた。
  • 安楽死を認めるか:池田「…人間の死は、やはり心臓死をもって判定すべきだと私も思います」#当時の池田は脳死否定論者らしい。
  • 共同意識の醸成:池田「…どのような社会、企業、国家であっても、個人の幸福を犠牲にした繁栄は、真の繁栄ではありえないということもまた忘れてはなりますまい」
  • 老人問題の根本:池田「…福祉を十分にしすぎても、かえって張り合いをなくしてしまうということも十分に考えられます。行き過ぎた老人対策は、老人を幸せにするよりも、結果として虐待することにもなりかねません」
  • 過当競争と政治:池田「目的のためには手段を選ばぬ式の競争や強者が残るためには弱者を犠牲にしてもよいといった修羅闘諍(しゅらとうじょう)の〝倫理〟が横行しているかぎり、大企業の繁栄のために中小企業が倒産していくのは、当然の結果といえるでしょう」
  • 自由は行き過ぎか:池田「…人間の行為や言動は、社会性をおびればおびるほど、影響力が強まってくるものです」
  • 法軽視の風潮:池田「…まず、これらの〝指導者〟たちの姿勢を糾弾し、正すことが先決ではないでしょうか」#おまえが(ry
  • 経営者の資格要件:池田「…ある指導者が真に偉大であるか否かは、その指導者の死後、三十年から五十年の状態がどうであるかで、判断できると思っています」#楽しみです
リンク
目次

1 人間というもの

  • 人間としての役割 / 人間内面の法則 / 人間の本質 / 人間の条件とは何か / 肉体と霊魂 / 唯物論と唯心論 / 生気論と機械論 / 人間の欲望 / 本能について / 欲望の種類 / 人間生命に内在する欲望 / 知・情・意の調和 / 残虐性と理性 / 男女のバランス / 人間は不平等か / 人間の差別 / 超人類は出現するか / 大脳移植の是非 / 人間尊重のために / “人間革命”運動の評価

2 豊かな人生

  • 運命とは何か / 人生コースのモデルは / 普遍的な生き方 / 真の幸福とは / 何のために生きるのか / 女性の幸福の条件 / 女性の特質と役割 / 出産と育児 / 女性の職業 / 人間としての成功とは / 最後に悔いなき人生 / 人間のモットー / 清貧か富の向上か / 苦闘の体験は / 私心を去って生きる / 素直な心 / 統一的な自我の持続 / 感謝の心 / 自然の恵み / 個人主義と利己主義 / 煩悩をどう考えるか / 次の世に生まれるとしたら / 日に新たな精神 / 青年に期待するもの / 健康であるために / 信条について / 世間をどうみるか / 歴史をどうみるか / 中国の歴史上の人物 / 若い世代に望むこと / 青年の無関心層の増大 / 影響を受けた人物

3 宇宙と生命と死

  • 死をどう考えるか / 死に臨む覚悟 / 死後の生命 / 「肉体離脱体験」とは / 死後における身体 / 転生の可能性 / 安楽死を認めるか / 安楽死と宗教の役割 / 生命の発生 / 進化論をどうみるか / 人間の誕生 / 人肉食について / 生命内奥の探求を / 部分的生命と全体生命 / 生命現象の重層性 / 生態現象の不確定性 / 生体実験の疑問 / 生命の人工合成は可能か / 人工中絶の問題点 / 人口問題と避妊 / 避妊と性道徳 / 試験官ベビー / 青年の自殺を防ぐには / 自殺をどう考えるか / 現代生物学の発展の方向 / 地球外生物の存在 / 地球外生物との共通点 / 物質究極の姿 / 宇宙は無限か有限か / エントロピー増大の法則 / エネルギー保存の法則 / 東洋医学の評価

4 繁栄への道

  • 共同意識の醸成 / 真の繁栄とは何か / 人間性・国民性・時代性 / 中道について / すべてが共存する道 / この地上に楽土を / 社会福祉はどこまで / 福祉の理念とは何か / 老人問題の根本 / 適正な競争を行うには / 過当競争と政治 / 資本主義社会の問題点 / 自由と秩序の両立 / 自由は行き過ぎか / 治安とインフレの関係 / 治安保持の方策 / 治安の乱れの原因 / 法軽視の風潮 / 消費者のあるべき姿 / 余暇をどう利用するか / 調和の本質 / 人格的価値の基準 / 相互不信を取り除くには / 新しい「恩」の考え方 / 普遍的な正義派あるか / 力の正しい行使 / 平等と差別 / 正義と力 / 現代における大義 / タテ社会の人間関係 / 民主主義を生かすには / 民主主義体制について / 才能と職種 / 富の公平な配分 / 経営者の資格要件