レポート・論文作成のための引用・参考文献の書き方

藤田節子. レポート・論文作成のための引用・参考文献の書き方. 日外アソシエーツ, 2009-04-27, 144p. ISBN978-4-8169-2179-7.

2009-06-13 図書館816.5 (2100円) 2009-06-16 ★4

感想

引用文献や参考文献(以後まとめて「参照文献」とする)の記述が規定されてなく、むかしから悩んでいたので、読むことにした。法学分野で、ウェブのURLの記述に基準がないので参考にはなった。一方で、判例の記述だけは利用するのが難しいように思える。

引用文献と参考文献は違う。引用文献はコピペした文献で、参考文献は読んで理解を深めた文献。

参照文献を列挙する理由は、読者が本文の知識をさらに広げるのに重要だから。ウェブサイトのリンク集かサーチエンジンの検索結果のようなものといえるかもしれない。

参照文献に必要な要素は、「誰が」「何というタイトルで」「いつ」「何という媒体に」発表したかである。

列挙のしかたは、学術クラスタによって違うようだ。ハーバード式・シカゴ式に、国内では人文社会科学系・MLA・APAなど。そして、統一的なものとしてSIST02が提唱されている。

読者が再取得できないような絶えず更新しているウェブサイトや、名無しさんが書いた文は信頼性が低いので、参照文献には適さない(ただ、名無しさんが書いたものは、自論として展開するのは自由だと思ったり)。

リンク
メモ
  • ピリオドやコンマに使用する文字は、半角がいいのか全角がいいのかわからなかった。また、半角だとして、前後に(半角)スペースを入れたらいいのかわからなかった。
  • 29 雑誌名は略記してはならないが、国際規格にしたがった欧文雑誌の略記は許されているようだ。しかし、法学分野向けなら、法律編集者懇話会「法律文献等の出典の表示方法」で提唱するガイドラインに従えば法律雑誌の略記は問題ないように思える。
  • 55-56 13.や14.などで使用する「編」「絵」「文」は、「□□明編編」「□□佐絵絵」「□□貴文文」といった誤植だと思われる表記になるおそれがある。逆に「□□貴」という人名だと「□□貴文」と記述されると、「貴文」氏の著書なのか「貴」氏の文か、すぐに判断できない。もちろん、人名の区切りが「,」か「.」で見分けることができるようだが。
  • 56 15.のURLは、Flipというサイトであって青空文庫ではない。文書のデータ取得元(定本)に青空文庫を使用しているだけである。また、パラメータが付いたURLは冗長なので省略した方がいいだろう。
  • 70 58.電子ジャーナルのURLなどで、ファイル名を指定しないURLの末尾に「/」をつけるかつけないかで、ゆれている。CiNiiの検索結果のリンクと「著作権とリンク」のページでもゆれているようだ。
  • 87 103.のページ範囲を示すのに「p.16-1-16-26」とあるが混乱すると思う。「p.16-1/16-26」「p.16-1-p.16-26」とか、上手い記述方法はないのだろうか。
  • 91-92 K.判例の記述では、提示している資料から判例を追える(だろう)。しかし、書誌情報から判例そのものに辿り着くことができなかった(私が法学の初学者なので、たんなる知識不足かもしれない)。また、裁判年月日(判決日)を西暦に変換しているけど、検索する場合、元号に再変換する必要がある。統一性をもたせるには西暦年で表記すべきだが、資料性を高めるには元号を併記するなど、法学分野での記述は改善が必要だと思う。
  • 119 問題1について、問題と選択肢で、選択肢は丸付き数字ではあるものの、双方とも番号(数字)を使っていて区別しにくい。選択肢は丸付き数字より、アルファベットやカナなど別系列の記号を用いた方がいいだろう。
目次
  • 第1章 参照文献の役割
  • 第2章 書誌要素と表記法
  • 第3章 主な書誌要素の解説
  • 第4章 参照文献の具体的な書き方
  • 第5章 参照文献を書いてみよう