日本的ソーシャルメディアの未来 PCポケットカルチャー

2011-05-10 図書館 (1554円) 2011-05-11/23 ★4.5

感想

日本のネットコミュニティ・ソーシャルネットワークの考察。

コミュニティ(共同体)とソサエティ(社会)の違いがよくわかった。日本社会が巨大なコミュニティだと知り、得体の知れなかった日本社会というものが、ものすごく理解できるようになった。そして、自分がコミュニティに属したり属されるのを極端に嫌う傾向があることも知った。

記号消費やドレスコードで、どのコミュニティに属しているのかを表すということを知った。コミュニティに属すのを極端に嫌う自分は、そういった記号消費やドレスコードをまとうことが下手なのかもしれない。

何らかのネットコミュニティを作りたいと思って参考にしようとしたけど、自分には、コミュニティを作るのは無理なのかもしれないと思った。

セミナーを書籍に収録しているものらしいけど、きちんと科学のやり方・論文のスタイルを守っていて、非常に読み易かった。

●追伸 2011-05-31
下の記事を読んで、「コミュニティ」というより、社会規範の厳しさを嫌う傾向にあるのかもしれないと思うようになった。

メモ
  • 20:表:コミュニティ(共同体)とソサエティ(社会)の比較
    • 郷土愛が昇華すると愛国心になるという考え方に疑問があったけど、この解説だとありえないことがわかった
  • 第2章:時間性から同期
  • 35:ネットは、コミュニティとソサエティの両方の特徴を合わせ持っている
  • 37:生きられた共時性
  • 76:「その相手が何の記号を消費しているかによって、話す相手の範囲を狭める」「記号消費で会話相手を選別する」。団塊世代は区別できない
  • 80:佐々木発言について、たしかに日本社会は相手が誰かわからないと会話できない
    • 80関連:アバターコミュニティだと、アバターから年齢が検討つかず、年配者が子どもに敬語使われなくて不愉快になるらしく、プロフィールに確実に「大人です」と書かれているのを思い出した
    • 80関連:子どもは必ず歳を聞いてくる。年齢で上下確定したいようだ。けど、主婦らは歳を聞かれるのは嫌なので、前もって「未成年とは話しません」とか「いきなり年齢聞くな」とかプロフィールに書いてある
    • 80関連→105:アバターコミュニティにも記号消費(ドレスコード)がある。課金・非課金でファッションに差が出るし。無料の服を着てると、初心者か課金できない子どもと思われるので、タメ口でよく話しかけられるけど、有料の服だと誰も話しかけてくれない
  • 84:日本社会では集団主義前提のキャラ作りをしないといけない
  • 99:「アーキテクチャ」はレッシグが2001年に言い出した
  • 104:「オンラインゲームでは、いともたやすく善人になれるんです。だからこそ、これは逆説的なわけですが、ヴァーチャルな世界だからこそ、人の善意に触れることができて、「人間っていいな」みたいな体験を感じられてしまうんです」
  • 106-107:男子高校生がミクシィで嫌なことは、先輩からのマイミク申請/何度もリセットする人とか
  • 108:知らない人に話しかける文化って大阪や香港や韓国にある。東日本の一部だけ異常かそう思ってるだけじゃないのかなと思う。東日本が、西日本より「コミュニティ」を維持しているのかもしれない
  • 112:「日本社会は今後〈ソサエティ〉として成熟していけるか、それとも〈コミュニティ〉としての側面をしぶとく残していくのか」
  • 119:山岸俊男の一般的信頼テストからわかったことは、アメリカは信頼社会で、日本は安心社会(マフィア型信頼・場を信頼)。#個人名より会社名なのも符合する
  • 126:ネカマを薦めている#同意。男女間のコミュニケーションを学ぶのに最高だと思う
  • 146:ここで紹介されている事例ではないけど、擬似コミュニケーションで満足かもしれないと思ってきてる
目次

まえがき
第1章 コミュニティ(共同体)とソサエティ(社会)

  • 再び「インターネットって、何?」/自己紹介と本日の予定/〈コミュニティ〉と〈ソサエティ〉/時間観念による区別/ネットコミュニティは〈コミュニティ〉ではない?

第2章 インターネットを「時間」から考える

第3章 ソーシャルメディアと日本人

  • 欧米と日本におけるニュアンスの差/「知らない人に話しかける」こと/オタクとインターネットは相性がいい/自分の「キャラ」って、何?/会社という共同体/「おじさん」はなぜソーシャルメディアを使えないのか/シニア世代にこそソーシャルメディアを!

第4章 「ミクシィ疲れ」はなぜ起こる?

  • オンラインゲームの社交性/日本的ソーシャルメディアは「疲れる」/固定化された人間関係が「疲れ」のもと

第5章 学校教育とソーシャルメディア

  • 「クラス」が日本の若者をムラ社会に最適化する/「安心社会」と「信頼社会」/情報教育に出会い系サイトを活用

第6章 質疑応答――50年後、どうしてる?

付録 「ソーシャル」をより深く知るブックガイド
今回のまとめ

ブックガイド

  • 単行本の蔵書あり

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