日本人の生活はこう変わる “聖域”農業を見直す (EYE OPENER SERIES)
日本人の生活はこう変わる―“聖域”農業を見直す (EYE OPENER SERIES)
posted at 2011.6.12
感想
1986年発刊の日本経済の予想本。
青木雄二『ボロ儲け経済学』を読んでから、妙に日本経済系の昭和本が読みたくなり、以前から積読しておいたので読了させた。もともとは、家の書棚にずっと置かれ放置されていた本だが、親が購入したくらいにベストセラーだったのかもしれない。
やや読みにくい文体だろうと思っていて、長らく積読していたけど、速読のコツも知ったし、スラスラ読めるだろうと思って読んだ。実はとても読みやすい文体で、余計に早く読み終えることができた。
日本人は働きすぎでお金を貯めこみすぎなので、もっと遊びましょうということと、いまでいえば、TPPしようぜという話。
25年前と四半世紀前の本なんだけど、一部に引用で大きく外しているところもあるが、おおかたの方向性は、この本に書いてあるとおりだなと思った。
メモ
- 38:「日本が働き過ぎ、貯め込み過ぎたとしたら欧米は遊びすぎ、つかい過ぎといえるのではないか」
- 44:「ウサギ小屋と嘲笑される狭い住宅、首都圏にあってもまだ完備されていない下水道、一日何時間も閉じ込められるぎゅうぎゅう詰めの通勤電車、わざわざ疲れて行くような短い休暇」
- 50:「…吉兆という有名な料亭では、1人分ゆうに8万円はかかるという」
- 72:日露戦争後に南満州鉄道を譲渡された。薩長はアメリカと組むことを考え、若手官僚は、アメリカに乗っ取られるという意識もあったと思われ、日本単独で運営することを考えていた。
- 83:「いま欧米諸国が強く求めているのは内需拡大である」
- 142:「かつての国鉄もそうだった。赤字がかなり累積していた数年前でも、労働組合などが「国民の足である国鉄が赤字でなぜ悪い」と居直ればそれ以上大きく突っ込むことができなかった。」#いまの原発事故の弁明に似ている
- 173:「日本でも昔から、詩を詠んだり、自然に入って読書三昧の生活を送っているような悠々自適の人がいる。数は少ないが、心と自由の豊かさを持っていて、現在でも憧れの対象となることがある。だが戦後の経済競争の厳しい中で彼らはほとんど忘れられてしまった。」#そこで出てきたのがひきこもりニートですねw
- 182:「…それぞれの日本人が感じるのは“他人の目”である」
- 187:「残業も日本人はよくする。アメリカでは残業は経営者の犯罪とまで考えられているから、残業に伴う割増し金も高い」
- 195:「工場のほうはペンペン草が生えているのに、研究機関や人の集まるイベント性の強い場所が伸びている。こうした現象は現在が物をつくる時代から情報化社会へ移行する過渡期にあることを如実に示すものであろう」
- 203:「アメリカ型の経営では、日本企業のように利益を内部留保として貯め込まずに株主に還元する」#数年前、内部留保は現金化できないなどと言い訳してたけどおかしい。
- 203-204:「家をローンで買った時、銀行からお金を借りた場合の金利を、アメリカでは自分の給料から経費として控除することができるが、日本では引けない。だから家は買いにくい」
- 206:「初めの3Cは、コンピュータ、コミュニケーション、コントロール」「第二の3Cはキャッシュ、クレジット、カレンシー(通貨)」
目次
- 1章 世界一豊かになった国
- 2章 日本人は本当に豊かか
- 3章 戦後の40年、これからの40年
- 4章 欧米並みの豊かさが日本を救う
- 5章 農業は聖域なのだろうか
- 6章 農業は再生不能ではない
- 7章 自由の豊かさ
- 8章 新しい40年のトレンド