自分の小さな「箱」から脱出する方法

2012-01-26 図書館 (1680円) 2012-02-29/03-18

感想

コミュニケーションを取る上での考え方の本。哲学でいうところの「自己欺瞞」を、「箱」という概念で説明している。普段使われる言葉なら「殻に閉じこもる」に近いかなと思う。

ほかの人はみんな無能という考えに陥ってた時期があるけど、その後、そう考える自分がもっとも愚かなのにも気づくようになった。なので、「箱」という概念は、すぐに理解できた。

ちょうど「箱」から出ていて、うまく行動している人をモデルにしながら、この本を読み進めることができ、より理解が深まったと感じる。

後半に具体的にどう対処したらいいのか書かれているが、デール・カーネギーの『人を動かす』を読むと、もっと上手くなれると思う。

メモ

知っておくべきこと

  • 自分への裏切りは、自己欺瞞へ、さらには箱へとつながっていく。
  • 箱の中にいると、業績向上に気持ちを集中することができなくなる。
  • 自分が人にどのような影響を及ぼすか、成功できるかどうかは、すべて箱の外に出ているか否にかかっている。
  • 他の人々に抵抗するのをやめたとき、箱の外に出ることができる。

知ったことに即して生きること

  • 完璧であろうと思うな。よりよくなろうと思え。
  • すでにそのことを知っている人以外には、箱などの言葉を使うな。自分自身の生活に、この原則を活かせ。
  • 他の人々の箱を見つけるのではなく、自分の箱を探せ。
  • 箱の中に入っているといって他人を責めるな。自分自身が箱の外に留まるようにしろ。
  • 自分が箱の中にいることがわかっても、あきらめるな。努力を続けろ。
  • 自分が箱の中にいた場合、箱の中にいたということを否定するな。謝ったうえで、更に前に進め。これから先、もっと他の人の役に立つように努力しろ。
  • 他の人が間違ったことをしているという点に注目するのではなく、どのような正しいことをすればその人に手を貸せるかを、よく考えろ。
  • 他の人々が手を貸してくれるかどうかを気に病むのはやめろ。自分が他の人に力を貸せているかどうかに気をつけろ。
目次

第1部 「箱」という名の自己欺瞞の世界

  • 1 「君には問題がある」:「自分ほど努力してきた人間はいない」/「成功してきたわたし」の問題点
  • 2 自分だけが気づいていないこと:誰にも気づかれないと思ってやっていること/無能な部下に、「我慢」してつき合っている?/「君のやり方は間違っている!」
  • 3 何も見えない状態に陥るとき:家族を守るために、仕事優先は当然?/なぜ、自分だけが「蚊帳の外」なのか?/「自分が思い込んでいた現実」を検証する/見えなかった「問題」に気づく
  • 4 さまざまな問題のもとになっている一つの問題:問題の「原因」を追求する/あなたの中の「自己欺瞞」がトラブルを呼ぶ
  • 5 効果的なリーダーシップを支えるもの:「最初のミーティング」で与えられた課題/相手をやる気にさせる「マネージメントの原則」/「相手が自分をどう感じているか」/妻が不機嫌なのは「夫の本音」を見抜いているから?/「いっそ認められないほうがましだ」/相手を献身的な気持ちにさせる
  • 6 自己欺瞞に冒されている人ほど問題が見えない:「自分」と「自分以外の人たち」/「わたし」には「特権」がある?/箱の外にいるか、中にいるか/相手がどう感じたかを考えてみる/成功の原因を作っているもの
  • 7 目の前の相手は「人」か、「物」か:問題はどこにあるか/仕事に対する情熱をかき立てるもの/「行動」は問題じゃない/箱の外に出たままでいられるか
  • 8 うまくいかないのは自分だけが悪いのか?:一緒に仕事をしたくないタイプ/一人の人間として相手と向き合う/相手が箱の中に入っていたら……?

第2部 人はどのようにして箱に入るか

  • 9 箱に入っているのは、あなた一人じゃない:「自分」はどう変わっていくのか/いつも箱の外にいる必要はない
  • 10 箱の中に押し戻されてしまうとき:組織における人間関係の問題/「自分だけが努力しても変わらないのではないか」
  • 11 あなたを箱の中に追い込む「自分への裏切り」:「自分がすべきこと」に背く/「相手のすべきこと」を責める/被害者の自分を正当化する
  • 12 ほんとうに相手が悪いのか? 自分を正当化できるのか?:相手のことを「ひどい人間」だと感じるとき/「しない理由」を相手の欠点に結びつける/自分に都合のいい考え方/「自分への裏切り」を正当化する/「わたし」を怒らせる相手が悪い?/剣を振り回しているのは誰だ?
  • 13 他の人たちが何を必要としているか:「箱」の中での生活/相手だって反省する必要がある?/箱に入るのは、誰かのせいなのか/「自己正当化イメージ」について
  • 14 なぜ自分ばかりが責められるのか:箱の中に入るようにしむける行為/なぜ自分が望む方向に進まないのか/「箱」の中は居心地がいい/共謀して「ひどい相手」を非難する関係
  • 15 自分の気持はどこに向いているのか:「仕事の成果」に集中するには/「最近」をまき散らしていた張本人
  • 16 箱の問題は、なぜ解決しなければならないのか:「問題」を引き起こすもの/「伸びる会社」にとって何よりも重要なこと

第3部 箱からどのようにして出るか

  • 17 「素直な自分」を引き出す:自分の気持ちを話したくなる人/「変化のきっかけ」をつかむ
  • 18 「どうすれば箱の中から出られるか」:自分の中の「嘘」に気づく/自分以外はみんなが無能に見えるとき
  • 19 人として、相手と接する:「箱の外」にいるときの自分/「いい感じ」を保ち続けるには……?
  • 20 箱の中にいるときにしても無駄なこと:相手を変えようとしてもうまくいかない/相手と張り合っている自分に気づく/「箱の世界」のコミュニケーション/人間関係にテクニックは有効か/自分の行動は変えられるか/頑張れば頑張るほどうまくいかない?/箱から出るために何をすべきか
  • 21 自分が楽な人間関係を選択する:相手に逆らうのをやめてみよう/「自分が間違っているのかもしれない」/「相手のため」に行動することは損か
  • 22 何のために努力するのか:「ひどい人間」が自分をダメにする?/箱の中にいる限り問題は解決できない/リーダーのあるべき姿
  • 23 本気にならなければ人はついてこない:相手に伝えなければならないこと/「君の力が必要なんだ」
  • 24 二度目のチャンスは用意されている:次の段階に進む前に/人に力を貸すにはどうすればいいか/相手を知りさえすれば、怖いものは何もない