カイゼン報告システム―先進企業の実践レポート

2013-04-29 図書館除籍・返却予定 (1450円) 2013-04-29/30

感想

業務改善の提案制度の解説。

会社の面接で「業務改善をしたい」と言っていたので、採用前ではあったけど、図書館の除籍本がリサイクル文庫コーナーにあって目を引き、業務改善とは何なのかを調べておくために読んだ。なお、過去の職務経歴から、改善提案制度によって、改善提案したことがある。

改善の提案で済ますのではなく、実施・報告することに意義があるとしている。具体性を求めるという意味でも、上役の理想論ではいけないという。なお、もっぱら上役は、理想論を言って社内の序列を確かめるだけで、現場を理解していない場合が多い。

実施済みの改善の方が、ツッコミしやすいので、より改善が進むという。なので、小さな改善から進めたらいいという。

賞金ではなく「奨金」にして、一律にした方がいいとか、もしくは、なくてもいいという。従業員の意欲や能力の向上にあるからだという。賞金体系を設けると審査が難しくなるので、全体の8割を標準にして、残り2割を優秀賞に割り当てるという相対評価すると、複数の部署で複数の審査者がいても偏りがなくなっていいという。

改善事例として「宅配便伝票の補充」はいいなと思った。伝票を入れている箱の壁に印をつけて、補充レベルになったらその印が出てくるようにするとか。

■追伸 2013-05-02
結果は不採用であった。ウェブサイトに公表されいている数値から算出すると、従業員の1人あたりの売上が310万円ほどで、面接時に効率化を考えているとあったが、実施するつもりはなく、たんなる面接用の質問だったのかもしれない。

親子関係にある子会社への応募だったが、本業の親会社の売上を増やすか、子会社へ振り分ける予算を多くするか、もしくは、人員補充よりも人員削減すべきではないかと思った。記念碑的目的・調査目的の募集であればともかくとして、本気で募集をかけていたとしたら、経営がおかしすぎるので、不採用でよかった。

…という、酸っぱいブドウで慰めておくことにする。

目次

第1章 提案から改善へ

  • 1 なぜ「提案から改善へ」か:旧来の提案制度はオマケ/改善への引き金はオイル・ショック/能力開発の手段としての改善制度/仕事の報告は改善報告で/どう変えたかがポイント
  • 2 なぜワザワザ制度をつくるのか:改善制度は本当に必要か?/タテマエより現実に目を向けよ/理想と現実のギャップを埋めるには/組織の弱みをカバーするには/ワザワザ制度をつくってでも/胴体が動けばシッポも動く
  • 3 シンプルな制度と効率的な運営:自分の仕事の実施済み改善へ/やってみるとわかる 実施済みのほうが容易/実施済みのほうが参加率は高まる
  • 4 賞金から奨金へ:もはや「賞金」の時代ではない/改善を奨励する「奨金」と変更すべきでは/改善奨励金はどうあるべきか/ナゼ奨金は必要か/奨金はないのがベスト 一律○○円がベター/提案賞金のジレンマ/次次善の策として例外的な奨金も/改善は相対評価で/大枠を決めあとはまかせる/そのまた例外としての二次審査

第2章 賞金のない改善報告制度・出光興産

  • 1 提案から改善報告制度へ 〜賞金がなくても改善はドンドン〜:当たり前のことだから賞金はない/部下の改善能力は上司のOJT能力/賞金の功罪を問う/賞金廃止は改善活動の試金石/賞金をやめても「改善を書き出す」ことは不可欠/無意識の改善を意識的な改善へ/各人の領域を広げる それが活性化だ/もはや「提案」ではなく、「改善(相談)報告活動」である/「カイゼン」へのカジ取りが事務局の役目/(改善事例)オーダーの控えを整理/フロッピーの整理/スペア灰皿の設置/美術館の電話回線一本化/週間行動予定表を作る/年賀状印刷の控えをとる/訪問業績シートを作る/ほか/第1講 それカイゼンだよ/第2講 無意識から意識的カイゼンへ/第3講 よけいなことをするのが改善

第3章 サービスの心を改善に・いなげや

  • 1 “提案制度なんてウンザリ”が出発点:「なんでもOK」の行く末は/意外にスムーズであった改善への移行/よい改善 よくない提案/(改善事例)顔写真つきPOP/宅配便伝票の補充/アジフライの小麦粉つけ作業半減/傘カバー・スタンドにキャスターを/傘カバーの改善でゴミの山を一挙に改善/POP終了時がハッキリわかる改善/ほか
  • 2 パート社員の改善はお客様の気持ちを反映する:現場を知りつくしているから改善できる!/改善事例・その1 安全教育用のビデオ制作/改善事例・その2 洗濯の順序を見なおして水10トンの削減/追い込まれればアイデアが出る/しかけがなければよい改善は生まれない/しかけ・その1「小さな改善からはじめよう」運動/しかけ・その2「事例集が最高のテキスト」/改善用紙の裏も事例集
  • 3 改善に聖域なし! スタッフ部門が改善の牽引車だ:スタッフ部門も例外ではない/火つけ役はスタッフ部門/改善用紙色分けでははっきり区別
  • 4 本社スタッフを盛り上げる機関銃のヨシさん:スタッフ部門の牽引車はこんな人/吉川流「6・2・2の原則」/これが吉川流改善活動の推進/【事例】ラミネート加工総合マニュアル/【事例】賞状の保管方法/【事例】スペース不足解消は超ミニ催事/【事例】取引先を再発掘する法/【事例】パソコンを効率よく使うために/【改善劇場】さらば!ネクラな情報処理部門

第4章 変身企業の改善OJT・JR西日本

  • 1 アイデア提案から改善実施型へ:会社発足後すぐに制度の洗い直しを/国鉄時代の三つの問題点/時代の変化にあわせた提案制度の追求/三つの方策と目的の明確化/「採用提案」を重視する方針/モノになる改善にエネルギーを注ぐ/参考提案は年一回の「テーマ提案」へ/OJTとしての改善活動/状況にあわせ制度も改善されていく/総合サービス業における改善活動/(改善事例)パンフレット・ケースの改善/(改善事例)着脱自在でサービス・効率アップ/(改善事例)パターンを見抜けば一発点検/(改善事例)実施できるのが本物のアイデア/(改善事例)ちょっとの「くふう」で「くろう」なし/(改善事例)変化には変化で対応/(改善事例)先入れ先出しで整理整頓/(改善事例)歯止めの寿命を歯止めする
  • 2 職場の改善事例こそが最高のテキスト:(事例)臨時運転のさいの不慣れ不安を解消/異常時用ポケット版線路図表の作成/お客様への乗換え接続案内について/出口閉鎖時間のご案内/ホームでの不案内なお客様にひとこえかける/改札出入口を○×で表示/腕、足用の反射ベルトの作成/廃物有効利用による障害事故防止/脚立の転倒防止について/掲示器灯具取替の支え棒を作る/車イス移動板の作成/鍵の整理箱の作成/給排水管の表示札/自動車類運転日誌のくふう/ほか
  • 3 待っているだけでは改善は出てこない 〜改善推進担当者に聞く〜:推進委員はつねに動く提案箱であれ/件数よりも内容を重視した改善活動/改善は自分のためにという意識づけを/材料費は自己負担 改善提案のネック/サービス部門だって改善の種子はいくらでもある/(改善事例)乗り換え・接続案内をカード化/近郊電車追い抜き早見表を作成/実施することによってさらに改善が進む/防護トビラに蛍光シール貼り付け/ベルト荷締機の安全対策/ズボン裾の安全改良/書類ばさみの簡易照明ホルダー
  • 4 改善OJTはカバンの中を見ることから始まった 〜JR西日本糸崎運転区〜:「カバンの中を見せてください」で始まった改善OJT/改善OJT推進に上司の評価は不可欠/推進担当者は何をすべきか
  • 5 全体にNOと言わない改善OJT 〜JR西日本小倉新幹線信号通信区〜:“提案”は難しい―と思われていた/「どんな改善に対しても絶対にNOと言わない」/点火し、始動させれば、あとはまかせて下さい!