不幸にする親―人生を奪われる子ども
感想
子どもの異常は親に原因があり、その解決法を提案している本。この本に出会って良かった。親が悪いと責任転嫁しておしまいではなくて、これからどうするかまで踏み込んでるところが、著者がPh.Dの洋書らしい。今回、図書館からの貸し出しなので、お金に余裕があれば購入し手元に置いておきたい。
パート2まで読んで、精神的に耐えられなくて長らく放置していた。パート3から解決編だったのにもかかわらず、原因を知りたかったのかもしれない。
父がおかしな人間だということに、幼い頃には気がつかなかったが、成人してからだんだんとこの人はおかしいと実感を得ていた。父は仕事もしていたし、自分は診断の専門家でもないので、おかしさを確実にすることができないでいた。26ページからある診断に65項目中で34-46項目が該当した。22項目以上でコントロールばかりする親のもとで育った可能性が高いという。
記述にはバーナル効果がないかと疑っているので、健全な親に育てられた人が読んでどう思うのか聞いてみたい。兄弟はすでに自立しているが、話を聞くと何かしら欠陥を抱えているような気がする。
対策に関しては、絵に書いたような親子関係を築けないかもしれないとか、別に許す必要もないとか書いてた。ほかにも選択肢が挙げられていて、何を選択するかは自分次第のようだ。
追伸 2011/07/02
…などと総括したら、自分の人生は、両親のせいにしてもはじまらないようだし、どうやら残りの人生は、自分で切り開いた方が楽しい気がしてきた。そんな見方ができるようになったから、父との関係も、いちおう上手く行ってる気がするし、ようやく親離れしたのかもしれないと思ったりもした。
メモ
- 18:「「不健康で過剰なコントロールをする親」とは、子どもの成長をはぐくむためではなく、自分(たち)を喜ばせ、自分(たち)を守り、自分(たち)のためになるように行動する親をいう。」
- 18-19:「完全主義者、極度に過保護、独裁的、言動が支離滅裂で子どもの頭を混乱させる、厳格すぎる、子どもをあざけたりバカにする、権威主義者、子どもの心を操ろうとする、粗暴な言葉で子どもをののしる、細かくかまいすぎ、情緒的に疎遠で子どもに心開かず、尊大で横柄、絶対に譲歩しない、神経ピリピリで気が休まらない、いつもイライラしていて機嫌が悪い、抑圧的、人間的な感情を示さない、子どもに対して押し付けがましい」
- 20:「情緒不安定ですぐに怒りを爆発させる親は、「いつ怒り出すかわからない」という不安を植えつける」そうだけど、私が年上の男性と関わりたくないのは、その人が「いつ怒り出すかわからない」から。なので、小中高の教師らとまともに話したことないし、人柄とかよく知らない。ネットでチャットしたとか、ツイッターでメンションした人よりもどんな人たちだったか知らない。
- 24:支配されることを極度に嫌がるのは、親に原因があるようだ
- 24:他人のことをすぐ決めつける人も親に異常あり
- 25:4「人からほめられても言葉通りに受けとめることができない」#これあるな。音声で言われても受け止めれない、文字にすると受け止められることも多い
- 26:「あなたは問題のある家で育ったので、人間として欠陥があるということではありません」
- 27:「「あなたは幼い頃に困難な状況に囲まれ、そのなかを生き延びてきた。そのころは今でもあなたの人生に大きな影響を及ぼしているであろう」という意味にすぎない」
- 28:子ども時代の責任は親にある。大人になったいまは自己責任
- 29:親も何らかのトラウマを抱えている可能性がある
- 78:「潜在的な暴力の驚異」
- 102:「…子どもに暴力を振るってもたいていの場合は部外者にわからないうえ、よほどのことがないかぎり捕まらないからです。しかも、小さな子どもに比べて親は大きく、力の差は圧倒的です」
- 102-103:まともな親なら叱ったあとに後味の悪さを感じる。頭のおかしい親は子どもが悪いと自己正当化する
- 103:「…子どもの心に残る「恐れる気持ち」は大人になっても消えません。…家庭内の恐れから拡大して一般化し、無意識のうちに「世の中は安全でない」という意識を抱くもとになります」その通りだし、だからひきこもりニートなわけで
- 117:「5子どもが自分で決めようとすることをコントロールする」→物事を決める力の発達が遅れる。親の考えに依存しすぎるようになる。自分の考えに自信が持てなくなる。何かを達成できたかどうかがわからず、いつもあやふやな気分がしている:自分はこれだなあ
- 118:「6子どもの発言をコントロールする」→自らすすんで話そうとしなくなる。人とのコミュニケーション能力の発達が遅れる。閉塞感に悩まされる。自信がなくなる
- 118:「7子どもの感情をコントロールしようとする」→わき起こる感情にどう対処したらよいかを学ぶ機会が奪われる。自分の感情をどう表現したらよいかについて考えがゆがむ。なぜその感情が起きたかを理解することができなくなる。他人の強い感情に接した時にうまく対応できなくなる
- 119:「9子どもをいじめ、虐待する」→孤独感や見捨てられた気分が高まる。うつと不安症候群の危険性が高まる。自分はいじめられてもおかしくないと思うようになる。衝動的な行動が抑えられなくなる。なんらかのアディクションに陥るリスクが増す
- 132:「どんな子どもも、親の愛情、注目、承認を必要としており、それを手に入れるために必死になる」
- 132:従兄弟の娘が車が発信するたびに、「車危ないよ。事故起きるよ」とか言うので、親やその親が脅しすぎなんだろなあなどと思いつつ、「交通事故はそんなに起こらないし、○○ちゃんのママは安全運転だから大丈夫だよ」と言ったら、言わなくなったのを思い出した
- 134:俺はおかしくない。俺の言ってることは作り話でない。不健康で有害な親のコントロールは実際にあった。それは苦痛に満ちた破壊をもたらした。親の声が心の中に内面化するのは俺には止められなかった
- 143:「親にコントロールばかりされて育った人は、子どもを作ることをためらう傾向がある」
- 143:「理不尽なコントロールをする親、または虐待する親に育てられた人は、自分に対して力を行使する人がみな理不尽に、または虐待的に見える傾向が強い」「同様に、そういう人は自分が他人に対して力を行使することに困難を感じる傾向が強い」もろ俺じゃん
- 148:『真実はあなたを解放するであろう。だが、真実はまず、あなたを怒らせる』
- 148:怒り自体は有害でも何でもない。大切なのは、どう表現するか
- 150:「警告:もしあなたが不健康なコントロールばかりしてこの子を育てれば、あなたは自分の子どもに、うつ、不安症候群、自信のなさ、ゆがんだ自己像などの種を植えつけることになります。」
- 163:力があったり、コントロールできない状況。必要とされない人や問題にしない人。時間や死・病は避けられない
- 218「ほとんどの人は、親に敬意を払ったり、愛したり、価値を重んじることができたらどんなによいだろうと本能的な願望を持っています。子どもを苦しめる親の場合は、それができないからこそ子どもは苦しむのです。」
- 246:ネガティブな思考パターンは、コントロールばかりする親に育てられた可能性が高いな
- 訳者あとがき:1990年代の全国紙に掲載された精神科医の認識がおかしいことが指摘されている。いまのネットでは、精神科医の発言は嘲笑の対象になってるような。偽の権威が力を持つと、みんなが迷惑する。精神科医の発言は害なこと多いと思う
目次
まえがき
序章 親の有害なコントロールとは
- 子どもが払う代償/どうして有害なコントロールとわかるのか/これは“親バッシング”ではない/自分を振り返れば/問題の責任はだれにあるのか/この問題はいつどうして生まれたのか/できることはたくさんある
〈パート1〉 こういう親が子どもを不幸にする
第1章 心が健康な親 vs. コントロールばかりする親
- 両者の主な違い/子どもに生じる5つのゆがみ/子どもの対応とその結果/新しい方向性/家族への忠誠心を見直す/「無実の罪悪感」を引き起こす思い
第2章 有害なコントロールのパターン
- 有害な親の8タイプ
- 〈その1〉かまいすぎて子どもを窒息させる親:それは愛情ではなく不安感/同じ価値観を強いる/かまいすぎは子どもの心を踏みにじる
- 〈その2〉子どもの幸せを取り上げる親:トレードマークは「条件つきの愛」/くじかれる子どもの夢/彼らはなぜ愛情を与えないのか
- 〈その3〉完全主義者の親:子どもにかかるプレッシャー/ステータスの崇拝/強迫観念的な要求
- 〈その4〉カルトのような親:“正しい”ことが死ぬほど大事/軍隊のような家/社会的地位のある親にもいる“カルト”
- 〈その5〉支離滅裂な親:感情が極度に不安定/何を言っているのかよくわからない
- 〈その6〉常に自分の都合が優先する親:自分の損得が大事/極度の自己中心性/嫉妬深い/ナルシストの親
- 〈その7〉身体的な虐待をする親:子どもを破壊する行為/衝動が抑えられない/なぜ彼らは虐待するのか
- 〈その8〉責任を果たせない親:大人に成長できてない/自分の子どもを守れない親/親が払う代償
〈パート2〉問題をよく理解しよう
第3章 “有害なコントロール”の仕組みはこうなっている
- 有害な親の“洗脳”/「実在する親」と「心のなかに住む親」/典型的な「12の手口」とは/真実のねじ曲げ/親の「真実のねじ曲げ」がもたらすもの/有害なコントロールの結果は積み重なって大きくなる/「内面化」した親はなぜそれほど強力なのか/自信を持って確認しよう
第4章 過去からの遺産は大人になって現れる
- 過去と現在のつながり/子ども時代のトラウマとその影響/よくある関連性の例/反応をチェックする
第5章 彼らはなぜ子どもをコントロールばかりするのか
- コントロールしたがる親のルーツ/子ども時代のトラウマの原因と回復の条件/トラウマとコントロールの関係/見当違いの考え/彼らはなぜ子どもをコントロールばかりするのか/同情と哀れみと理解/彼らは何を恐れているのか/恐れる心と自己防衛/コントロールばかりする親が払う代償/子どもが原因ではない
〈パート3〉 問題を解決しよう
第6章 不健康な心の結びつきを断ち切るには
- 過去からの遺産を捨てる/「5つのゆがみ」を捨て去るには/精神的に家を出る/その時の心理状態/感情と理性の衝突
第7章 親との関係の持ち方を変えるには
- I 健全な境界線を引く:目標は「心の平安」と「コントロールからの自由」/いくつかの例/境界線を引くことの利点とリスク
- II 自分を苦しめた親とは“対決”すべきか:“対決”はしなくてもよい/得るものと失うものを比較することが大切/言うべきことのプランを立てる/“対決”は長い道のりの一過程にすぎない/ターニングポイント/“対決”の効果とリスク
- III 自分を苦しめた親を許すことはできるか:「許し」に関する誤解と真実/つかんでいないで放す/いくつかの例
- IV 自分を苦しめた親を受け入れることはできるか:ふたつの例/受け入れることの利点とリスク
- V 有害な親とは接触を絶つべきか:いくつかの例/接触を断つことの利点とリスク
- VI 家族のジレンマ:親の老いと死/親との金銭的な問題/おとなになってからの兄弟姉妹との関係/休日や家族の行事の過ごし方
第8章 人生をリセットする
- 人間的に成長し、心を癒す9つの道
終章 過去に意味を見いだす
訳者あとがき/訳注