タテ社会の人間関係 単一社会の理論 講談社現代新書105

中根千枝. タテ社会の人間関係: 単一社会の理論. 講談社, 1967-02-16, 189p., (講談社現代新書, 105). ISBN4-06-115505-9.

2008-11-18 BKMS 100円(330円) 2009-09-30/10-02 ★5 図書館蔵書361.3

感想

日本社会論の古典。

ネットなどで評価されている古典って、読んでおいた方がいいと思った。新刊本なんかより、優先的に読むべきだと思った。

日本社会で上手く立ち回るために、日本的な考えで接してくる人の根本的な考えを知りたくて読んだ。以前に、『企業のなかでどう生きるか』を読んだことがある。

日本人は論理より感情で会話する一方で、欧米人は論理で会話するとあったが、著者が接してきた外国人が、ハイブロウの人ばかりなのではないかと疑った。

日本社会ってのは、親分・子分の関係で成り立っている。リーダーには、たいした権限がない。共同体の調整役でしかない。主義主張が一致しているより、エモーショナルな部分が一致していることが重要。能力主義と対極にあるのは序列。

2002年ころに『EQ』が売れたので、近年になって、欧米でもエモーショナルなものが見直されたのではないかと思う。

メモ
  • 58 日本では「ご無沙汰をする」というように、長い間接触しないで突然会ったりすると、かつての親交関係に入ることができないことが多い。一方で、中国人・イギリス人・インド人などの場合は、5年も10年も音信不通でありなが、昨日別れたばかりのような再会の感激をもつことができるらしい。
  • 165 ニ君に《まみえた》西欧と《まみえず》の日本
    • 追記 2023年2月19日 著者の日本語表現は不適切かもしれない
    • 適切とされる表現に校正すると:二君に《仕えた》西欧と《仕えず》の日本
    • https://twitter.com/asahi_kotoba/status/1505837788851507201
    • わざと二君ではなく二夫の意味合いを込めたかったのかもしれないので原著の再確認が必要
  • 168 カルト組織に見られるよなと思っていたら、「タテ線」や「親・子」関係が紹介されていた。
  • 171 「各々のグループは、主張する主義とか思想に論理的には無関係の、一種の(同じような傾向をもつ人々のパーソナリティの総和からかもし出される)《くさみ》をもっているのが常であり〔略〕、そうしたパーソナリティをもち合わせなければ、そのグループの成員となることは困難である」
目次

まえがき
1. 序論

  • 日本の社会を新しく解明する/「社会構造(ソーシャル・ストラクチュア)」の探求

2.「場」による集団の特性

  • 集団分析のカギ―「資格」と「場」/「場」を強調する日本の社会/成員の全員的参加/家族ぐるみの雇用関係/「ウチの者」「ヨソ者」意識/直接接触的な人間関係/単一社会

3.「タテ」組織による序列の発達

  • 構造分析のカギ―「タテ」「ヨコ」の関係/序列偏重の背後関係/中国・インド・チベットとの比較/イギリス・アメリカとの比較

4.「タテ」組織による全体像の構成

  • 《対立》ではなく《並列》の関係/人間平等主義/過当競争による弊害/ワン・セット構成と政治組織の発達

5.集団の構造的特色

  • 集団の内部構造/日本的集団の弱点と長所/必然的な派閥関係

6.リーダーと集団の関係

  • 制約されるリーダーシップ/権威主義と平等主義の力関係/リーダーの資格

7.人と人との関係

  • 契約精神の欠如/相対的価値観の支配/論理よりも感情が優先

終わりに